常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

grisly end(回答)

大変遅くなりましたが,ご指名質問にお答えします。今回は見出しのgrislyの持つニュアンスについてです。

Fallen Dean’s Life, Contradictory to Its Grisly End

記事の背景を確認します。セシリア・チャン被告(セント・ジョーンズ大学の元副学長で元アジア研究の学部長)が留学生に対し,奨学金を保障する代わりに家事手伝いなどを強要したとして起訴されました。しかしながら容疑否認後,自ら命を絶ったことが伝えられています。
見出しのgrislyは「ぞっとするほど不快〈不吉〉な,恐ろしげな〈死・犯罪・光景・物語など〉」という意味を持つ単語です(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。以下は記事からの抜粋ですが,ここから自殺の仕方がいかに惨かったかが伺えます。
“Less than 24 hours after testifying, Dr. Chang killed herself — an act of grisly determination. She started a fire in a bedroom fireplace and closed the flue. When death did not come quickly enough, she went downstairs to the kitchen and turned on the gas. For extra measure, she slit her wrists.”
華やかな人生とは対照的に,気が狂ったかのように,死に対して必至な様子から,grislyには「不気味な,奇怪な」などのニュアンスがあるのではないかと思われます。(GP)

http://www.nytimes.com/2012/12/11/nyregion/a-quick-descent-for-cecilia-chang-dean-at-st-johns.html?nl=nyregion&emc=edit_ur_20121211