常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問:pollute

大変遅れてしまい申し訳ございません。ご指名質問に挑戦いたします。お題は以下のpolluteです。

Peter Nicolas of the University of Washington Law School says the term stemmed from the notion of “adulterating” or polluting the bloodline of a family when a married woman had sex with someone other than her husband and ran the risk of having another man’s child.


このような表現は、たびたび目にしますので、結構有名かもしれません。このpolluteとは、血統や血筋を「汚す」や「冒涜する」という意味です。ここでは、まさしく不貞について書かれていますので、polluting the bloodline of a familyは「その家の血統を汚す」と訳せます。

そもそも婚前交渉や不貞、妻の浮気などは、昔はれっきとした犯罪でした。これらは、特に17世紀では、家父長制度から見た「良い女性」のステレオタイプから逸脱するものです。15世紀から18世紀の「良い女性」の条件とは次の3つを挙げることができます。それは、‘chastity’「貞節」、 ‘obedience’「従順」, ‘silence’「沈黙」です。

ちなみに、シェイクスピアの悲劇Othelloでは、夫オセローが、妻デズデモーナが不貞を犯したのではないかという妄想によって妻デズデモーナは殺されてしまいます。デズデモーナは、父にとっては従順で沈黙ではなく、オセローにとっては貞節とは見られなかった、という見方もあります。(Othello)