常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

read into and engage

昨年の9月ニューヨークのウォールストリートに突如“Occupy Wall Street”というムーヴメントが起こりました。その影響を受けてロンドンや東京,イタリア,フランスなどでも同じようなデモが起こったことは,記憶に新しいと思います。ロンドンにおける”Occupy London”の活動拠点の大聖堂の外のテントやSun StreetのUBS銀行は,今や観光客も訪れる場所にもなっているようです。The Guardianでは,テントで開かれた大学——Tent City University——の実態についての記事を書いています。なんでも教えているのは,昼は国立大学で教えている先生だそうです。

The professor of international banking said: "It's different in the sense that the questions were much more informed than those I get from my students. That was a bit of a surprise. Clearly, these are people who have read into things and already have some recognition of some of the problems, and they have thought about potential solutions. So there were much more details questions, more engaged questions."

http://www.guardian.co.uk/uk/2012/jan/19/occupy-london-tent-city-university

赤字で示したread into thingsについて考えてみます。このread intoは,どの辞書にも載っている表現で「よく読みこんだ;考えた」などの意味です。とくに,この表現は,いわゆる「読む」という意味のほかに,古風な「勉強する,研究する」という意味合いのを孕んだものだと考えられます。とくに,ここでは「よく勉強されていて,深い思考を伴った」という意味合いを強く感じられます。

続いて,engagedについて確認です。形容詞で「婚約中の」という意味もありますが,ここでは「積極的に関与している,積極的に関心を抱いている」という意味で使われています(『リーダーズ英和辞典』研究社)。高校生のころに習ったような気がする表現ですが,久しぶりに見たので載せました。

なんともThe Guardianらしい記事でした。学びが共有されること自体は,とても賛同できます。参加者には,さまざまな思想の人が集まっているようで,異なった考えを持つ人々と意見交換をすることは,大学の基本なのかな,と思います。

さて,最後に残るのがreadの意味合い。次の記事では,readについてOxford English Dictionaryを主な参考文献として調べてみました。(Othello)つづく