常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

anodyne, sanitise, and in the BBC’s avuncular way

The Independenceの記者のブログでもディケンズの話題が挙がっています。「ディケンズは子供が読むのに向いているのか」という内容です。さっそく記事から英語表現を拾ってみます。

Is Dickens suitable for children?
(前略)Most of us first encountered Dickens at school or when young. In the 1950s he was presented as a children’s author in a whole series of rather anodyne, sanitised dramatisations broadcast in the BBC’s avuncular way at ‘teatime’ on Sundays for ‘family viewing’ Inspired by this I, for example, read large chunks of David Copperfield before I left primary school.
(後略)
http://blogs.independent.co.uk/2012/01/04/is-dickens-suitable-for-children/

1950年代ではディケンズの小説は、BBCではどのように劇化(dramatise -ze)されたのでしょうか?答えは赤字で示した箇所にあります。

最初にanodyneから見ていきます。『リーダーズ英和辞典』の定義によれば「痛みどめの、鎮痛の;気持ちを和らげる」という意味であることがわかります。LDOCE 4th Eds. で意味を調べてみると “expressed in a way that is unlikely to offend anyone”とあります。さらに調べてみると、anodyneはラテン語のanodynusから来た言葉で、さらにanodynusはギリシャ語をもとにした言葉であることがわかります(LDOCE [CD-R])。an-は‘without’の意味で、odyneは‘pain’の意味です。

続いてsanitiseですが、『リーダーズ英和辞典』によると第1義に「衛生的にする」とありますが、LDOCE 4th Eds.によれば第一義に “to remove particular details from a report, story etc in order to make it less offensive, unpleasant, or embarrassing - used especially to show disapproval”とあります。つまりsanitiseも「好ましくないものを削除する」という意味で使われていることがわかります。

最後にin the BBC’s avuncular wayの箇所です。avuncularを辞書で調べてみると「おじのように優しい」とあります。おじがすべて優しいかは疑問ですが、一応LDOCEで調べてみましょう。“behaving in a kind and nice way to someone who is younger, rather like an uncle”とあります。それでは、この言葉のどこに「おじ」の要素があるかと言えば、語源を辿れば一発でわかります。ラテン語でuncle(おじ)をavunculus(母の兄弟)と言うので、簡単にわかるでしょう。

以上を踏まえると「ディケンズの小説は、BBC特有の誰にでも優しいやり方で、日曜の午後に、場面を厳選して翻案化されて放送されていた」ことがわかります。(Othello)