常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

舟を編む

久しぶりに原稿から解放されたお正月。いろいろな本に手を出しました。本書もそのひとつ。直木賞をとって以来、手を出すことがなかった三浦しをん氏。やってくれましたね。特にタイトルがいい。「舟を編む」という言葉は言葉の森、いや、大海を行く私達にはピッタリ。そのトーンをたとえるなら清水義範氏の『永遠のジャック&ベティ』かな。赤瀬川源平氏の『新解さんの謎』にも相通じるところもあります。辞書好きにはたまらない、まったりと読むにはなんとも言えない小説でした。(UG)

「どうか、いい舟を作ってくれ。荒木は願いをこめて目を閉じた。多くのひとが、長く安心して乗れるような舟を。さびしさに打ちひしがれそうな旅の日々にも、心強い相棒になるような舟を。きみたちならきっとできる。」(p. 028)