舟を編む
久しぶりに原稿から解放されたお正月。いろいろな本に手を出しました。本書もそのひとつ。直木賞をとって以来、手を出すことがなかった三浦しをん氏。やってくれましたね。特にタイトルがいい。「舟を編む」という言葉は言葉の森、いや、大海を行く私達にはピッタリ。そのトーンをたとえるなら清水義範氏の『永遠のジャック&ベティ』かな。赤瀬川源平氏の『新解さんの謎』にも相通じるところもあります。辞書好きにはたまらない、まったりと読むにはなんとも言えない小説でした。(UG)
「どうか、いい舟を作ってくれ。荒木は願いをこめて目を閉じた。多くのひとが、長く安心して乗れるような舟を。さびしさに打ちひしがれそうな旅の日々にも、心強い相棒になるような舟を。きみたちならきっとできる。」(p. 028)