常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fly

スラッシュ・メタルの四天王のひとつメタリカ(Metallica)がオリジナル・メンバーでライブをしました。さすがに、ベースのジミヘンと謳われたクリフ・バートンは天国への階段を登ってしまいましたが、デイヴ・ムスティンなども参加し、ライブは大盛況だったようです。The Guardianが伝えています。

After 30 years, Metallica still know how to throw a party. For four nights, the metal legends rocked San Francisco's Fillmore, inviting friends and collaborators, as well as hundreds of prize-winning fans. There were video tributes by U2 and Slipknot, jams with a New Orleans brass brand, and the premiere of unreleased studio recordings. The band didn't just fly in their most recent musical partner, Lou Reed – they brought in everyone from Glenn Danzig to Apocalyptica, as well as members of Judas Priest, Lynyrd Skynyrd, Saxon and Alice in Chains. When they played Iron Man and Paranoid on Saturday night, it was with one half of Black SabbathOzzy Osbourne and Geezer Butler.

赤字で示したflyが気になります。メタリカがさまざまな人物と共演したことを勢いよく伝えている表現です。動詞flyは「飛ぶ」という意味ですが、ここでは適切な訳語が思い浮かびませんが、「飛び込んだ」「やった」などと比喩的な意味合いで使われています。ここでflyを使うことで前後の文脈がより一層際立ち、迫力満点の怒涛のライブだったことが、前景化されます。

これは、前後の文から明らかになります。前の文では、U2やスリップ・ノット、ニュー・オーリンズのブラス・バンドとのセッション、さらには未発表曲の演奏、さらにはアイアン・メイデンオジー・オズボーン、ギーザー・バトラーとの共演などかなり豪華な演出がされていることがわかります。これを踏まえるとfly「飛ぶ」という言葉の意味合いがわかるような気がします。空を飛ぶ鷹のように勢いに乗ったライブの連続だったのでしょう。

最後に、赤字flyを含む箇所は、「もっとも最近共演したルー・リードとやっただけではなく、観客をグレン・ダンジングからアポカリプティカ、さらにはジューダス・プリーストのメンバー、レイナード・スキナード、サクソン、アリスイン・チェインズにも巻き込んだ」と訳せます。(Othello)