常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Dr. Clark. D. Lunberry講演の感想(Sugiuchi編)

本日(7/12/11),専修大学にUniversity of North Floridaから田邉先生の広島時代からのご友人であるDr. Clark. D. Lunberryがいらっしゃって講演をしてくださいました。
Clark先生はDepartment of English University of North FloridaのAssociate Professorでして,ご専門はdramatic literature and performance studies, the interrelations of the arts, modern and contemporary poetry and poetics, and the history of the avant-gardeです。今回は,Writing on Water, Writing on Airという題目のもと,「詩を紙の上ではなく湖や建物の上に投射したら,詩の持つ意味への感じ方は変わるのだろうか」ということを中心にお話してくださいました。
Clark先生は「water on water」という言葉を湖に浮かべてみたり,「murmur of words」という詩を湖に浮かべたあとに「murmur of wounds」と詩の一部を変えて変化をみたりと,色々な場所に色々な言葉の組み合わせを投射して,詩の持つ意味への感じ方がどのように変化するのかを研究されていました。もっと様々な手法を用いて詩への感じ方の変化を研究されていましたが,ここでは省略させていただきます。
講演でClark先生は多くのことを仰ってくださいましたが,それらの共通項は「言葉は生き物」という考えだと思います。例えばbambooと言うと,「竹が鬱蒼と生えていて,風に吹かれて葉が擦れ合い,すがすがしい音を作り出す」情景が思い浮かぶかと思います(人それぞれですが…)。では,竹そのものにbambooという言葉を投影したらどうでしょうか。bambooという言葉は,さらに活き活きとリアルなものになると思います。まるで言霊が宿ったかのように。「言葉は生きている」のです。
言葉は色々な要素によって意味がどうとでも変化していくもので,これはコミュニケーションという概念を考える上でとても大切なものです。そのことを違った角度から再認識できたClark先生のご講演でした。この場をお借りして,忙しいスケジュールの合間を縫ってご講演をしてくださったClark先生に感謝したいと思います。ありがとうございました。(Sugiuchi)