常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

日本英語音声学会関東支部第11回研究大会感想

6月12日に早稲田大学で行われた日本英語音声学会関東支部第11回研究大会に参加してきました。今回は大阪大学文学研究科教授の神山孝夫先生に特別講演をしていただきました。
そして特別講演が終わったあとに,2会場に分かれて4発表ずつ,計8つの発表が行われました。
私は神山先生の特別講演と,明治学院大学の米山先生の発表を拝聴してきました。ここで簡単にですが,それぞれの内容に触れさせていただきます。
まず神山先生ですが,テーマは「外国語発音習得における母語音声習慣認識の必要性」です。日本の英語教育においては,音声指導の地位が決して高くないというのが悲しい現実ですが,神山先生はよりよい発音指導のために,どのような英語の音声を目指すか,発音指導不要論から発音必要論へ,そして指導法を反省する,この3点が大事になると仰っていました。そして今回の講演では,「日本語音との比較」という切り口からお話をしてくださいました。講演においては,日本人英語学習者の「日本語なまり発音」と指導後の「英語発音」とを画像と音声で比較検討されていました。画像をスロー再生されるという工夫がなされていて,とてもわかりやすかったです。このような地道に一つ一つのerrorを直していくのが,とても大切なのですね。
続いて米山先生は,「英和辞典の音声記号の研究」を発表されました。日本で最近出版された英和辞典をソースにし,使用されている音声記号にはどのような違いがあるのかということが発表の核となっております。結論を申し上げますと,子音においては大きな差異は見られませんでしたが,母音表記には興味深い結果が出ました。辞書は,(1)表記されている母音の種類が多い辞書,(2)異音が多い辞書,そして(3)表記されている母音の種類が多く,異音が多い辞書,の3種類に分かれるのです。教師はこの特徴を見極めて,授業で使う辞書を選定していかなくてはなりませんね。
以上簡単に概要を触れさせていただきましたが,今回初参加の私にとっては全てが発見でした。今後ともこのような学会には進んで参加し,自分の知層を積み上げていきたいです。(Sugiuchi)