常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

bristle

詩人でありミュージシャンのGil Scott-Heronが27日に亡くなりました。黒人解放運動が低迷していた70年代。彼は黒人ミュージックであるジャズから離れることなく,思いを詩にし,音楽にのせ社会へ黒人文化を発信し続けました。この様子を伝えているThe New York Times(2011/05/28付)から気になった表現を取り上げます。

Mr. Scott-Heron often bristled at the suggestion that his work had prefigured rap. “I don’t know if I can take the blame for it,” he said in an interview last year with the music Web site The Daily Swarm. He preferred to call himself a “bluesologist,” drawing on the traditions of blues, jazz and Harlem renaissance poetics.

今回取り上げる表現はbristleです。辞書(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)によると名詞で「(動物の毛や人のひげの)剛毛,荒毛,針毛;(ブラシの)毛」とあり,動詞では「〈動物が〉(怒って)毛を逆立てる・〈毛が〉逆立つ,〈人が〉[言葉などに/怒りで]いらだつ・けんか腰になる,〈場所が〉密生する,林立する」とありました。ここではファンキーな音に重い詩を載せる彼の音楽がラップを連想させることに対して「いらだちを見せた。」と訳せるのではないでしょうか。

この単語からはただ単なる「いらだち」という意味だけでなく,身の毛を逆立てるほど「苛立っている」様子が伝わってきますね。(ゼミ生yori-money)