常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fruits

社会科の授業などで,日本語の「日本国憲法前文」を丸暗記したことがある人は多いのではないでしょうか。自分の場合,中学生と高校生の頃にそれぞれ暗唱したという記憶があります。本日はその「日本国憲法前文」の英訳である”THE CONSTITUTION OF JAPAN”から英語の落ち穂拾いをします。以下は『改定版 現代社会』(平成18年,第一学習者)より「日本国憲法前文」の一部引用となります。

We, the japanese people, acting through our duly elected representatives in the national diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim that sovereign power resides with the people and do firmly establish this constitution.

注目するのはfruitです。fruitと聞くと自分は真っ先に「果物」を想起します(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。しかし,「日本国憲法前文」には「果物」は登場しませんよね。またそもそもfruitは数えられない名詞とされています。辞書には「◆通例総称的な意味では集合的にU(Uncountableの略),食品としてはU(数えるときはa piece of〜),特に種類を表すときはC(Countableの略))とあります(『ジーニアス英和辞典』同上)。ここからもfruitsは「果物」と訳せないことがわかります。そこで辞書を引いてみると,「〔聖書〕子孫」とありました(『ジーニアス英和辞典』同上)。確認のため上記の文章の日本語訳を上記教科書より引用します。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

余談ですが,『日本国憲法前文』には暗記する際役に立つ歌があります。よろしければ下記URLをご覧ください。(ゼミ生 Lbow-Shoulder)

http://www.youtube.com/watch?v=56cdZogqFNY