常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

white paper

本ブログでは,以前green paper「《英》緑書《政府発行の政策書》」という表現を紹介しました(http://d.hatena.ne.jp/A30/20110305/1299327113)。これに関連して,今回はwhite paperという表現を採り上げます。以下はThe Asahi Shimbun(05/22/11付け)の記事"More women than ever working, as gender income gap climbs"から冒頭の一文の引用です。

Japan's ranks of working women grew to 23.29 million in 2010, up 0.8 percent from the previous year and the largest number ever, according to a white paper released by the labor ministry May 20.

http://www.asahi.com/english/TKY201105210141.html

まず表現の説明の前に記事本文の内容を確認します。ここでは,「2010年の女性の雇用者数は前年比0.8%増,過去最多の2329万人となったことが厚生労働省の発表で20日に明らかになった」というようなことが伝えられています。

次にwhite paperについてです。『ジーニアス英和辞典』(第3版,大修館書店)には「《英・カナダ・豪》白書《政府の公式報告書》」 とありました。具体的に,上の文脈で厚生労働省によって発表された白書は「働く女性の実情」(女性労働白書)というそうです(http://www.asahi.com/national/update/0520/TKY201105200598.html)。あわせて『広辞苑』(第5版,岩波書店)で「白書」を調べると,この語の由来が書かれていました。白書とはwhite paperの訳語であり,もとイギリス政府が外交報告書の表紙に白紙を用いたことからいうそうです。

補足になりますが,アメリカ英語では白書をwhite bookといいます(『ジーニアス英和辞典』同上)。(ゼミ生 pear