常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

buoy

りそなホールディングス細谷英二会長は公的資金の自力返済について一定のめどがついたことを述べました。また,詳しくは言及しなかったものの,代表権を返上する判断をしたそうです。このことについて述べた記事がJT online(05/21/11)にありました。以下は記事の表題です。

Resona buoyed by public fund repayments

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nb20110521a3.html

今回注目したのはbuoyです。buoyは名詞の意味で海に浮かんでいる「ブイ」として認識していましたが,ここでは動詞の意味で使われているようです(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。そこで辞書を引いてみると,buoyには「ブイ・浮標」「救命浮袋」「(気分など)高める」「(価格など)高水準で維持する」「(市場を)景気づかせる」とありました(『ジーニアス英和辞典』同上)。またLDOCEによると,to keep profits, prices etc at a high levelとありました。したがって,上記表題は「りそな銀行公的資金返済によって持ち直した」と訳せると考えました。ここからは推測ですが,ここでbuoyを使った理由として,名詞「ブイ」が関係していると思いました。「ブイ」というのは「沈めても浮かび上がってくるもの」であり,そのブイを会社の経営に例えて,会社が経営難(沈み)から立ち直る(浮上)様子を上手く表せているのではないでしょうか。

また余談ですが,りそな銀行の名前はラテン語resonaが由来となります。りそな銀行のHPによると,「『りそな』は、ラテン語で『Resona=共鳴する、響きわたる』という意味を持っています。私たちにとって、もっとも大切なものは、お客さまの声です。お客さまの声に耳を傾け、共鳴し、響き合いながら、お客さまとの間に揺るぎない絆を築いていこうという思いをこのネーミングに込めました」とあります。また語源辞典(スペースアルク)によると,re-(=back)+son-(=to sound)から「響きわたること」を表すようです。さらにresonaの派生語として,resonanceや,resonant,resonateなどが挙げられます。語源と共に派生語も確認しておきましょう。(ゼミ生 カメ女)

http://www.resona-gr.co.jp/holdings/about/brand/concept.html