常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

pirouetee

アメリカで大好評となった「ブラックスワン(Black Swan)」がついに日本でも封切られました。この映画はナタリーポートマンさん演じるバレリーナが「白鳥の湖」の主役であるプリマ(バレリーナ)を演じることからくるプレッシャーなどによって精神的に追い詰められてゆく姿を描くサイコスリラーです。これに関する記事がThe Japan Times(05/13/11付け)にありました。以下は見出しとその一部引用です。

Ballet drama pirouetees into uglier side of perfect beauty

Ballet has earned such a reputation for impeccable beauty that director Darren Aronofsky seems to positively revel in dragging it through the gutter a bit. His film "Black Swan" contains all the pretty stuff — the tutus, the immaculate posture, the grace and elegance in movement — that attracts young girls on an almost primal level, but then it delves into what it means to court perfection: the grueling training, the anorexia, the bitchy competitiveness, the repressed insecurity that threatens to come bubbling to the surface.

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/ff20110513a1.html

注目するのはpiroueteeです。辞書には「(バレエ・スケートで)ピルエット(する)、つま先旋回(する)」とありました(『ジーニアス英和辞典』第3版,大修館書店)。またLDOCEにはa dance movement in which the dancer turns very quickly, standing on one toe or the front part of one footとありました。ピルエットとは「片足のつま先で立って行うバレエの旋回」のことです(『大辞泉』増補・新装版,小学館)。以上のことから,この見出しが意味することは「バレエは、表面上の美しさと裏の醜い姿との表一体である」ということでしょう。またpiroueteeはバレリーナの専門用語であることから,意識してpiroueteeが使われていることがわかります。このように動詞の意味と背景知識を調べてみるとより理解することができ,またイメージもしやすくなりますね。

(追記)
余談ですが,映画の表題であるblack swanには「コクチョウ」以外にも意味があります。『ジーニアス英和辞典』(同上)によると,「非常に珍しいもの」とありました。映画の内容とは裏腹に,あまりマイナスの意味ではないようです。ついでにblack sheepで「(一家の)つらよごし,厄介者;異端者」とありました(ジーニアス英和辞典』同上)。改めて洋画のタイトルを辞書で引いてみると新たな発見があるかもしねませんね。
(ゼミ生 To To To)