常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

wild

今回はDY(05/15/11付け)より英語表現を拾います。昨日14日のプロ野球,東京読売ジャイアンツ(巨人)対広島東洋カープの試合は広島の劇的な逆転勝利で幕を閉じました。9回表までは巨人が優勢だったのですが,抑えのロメロ選手の乱調で試合がひっくり返ったようです。以下は記事の一部引用です。

wild rally

The only hit the Hiroshima Carp could muster in the ninth inning was an infield single to open the frame. Thanks to Levi Romero’s control problems, they managed to walk off the field as the winner.
Yomiuri Giants closer Romero walked three in the ninth, uncorked a gametying wild pitch and hit Yoshiyuki Ishihara with a pitch with bases loaded to give the Carp a walk-off 5-4 win Saturday at Mazda Stadium.

今回注目するのはwildです。wildと聞くと「野生の」「荒れ果てた」などの意味として認識していましたが,ここでは当てはまりません。辞書をよく見ると,「熱狂的な」「激怒した」「的外れな」とあります。したがって,wild rallyで「熱狂的な反撃」と訳せます(ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。また,審判の判定に対して猛抗議をした広島の野村謙二郎監督や,ロメロ投手のワイルドピッチによる失点も含めて,このwildを選択したのではないかと考えました。まさにwild尽くしの試合だったのですね。

今回は他に野球に関連した3つの表現にも触れます。1つ目は「サヨナラ勝ち」とは英語でなんと言うかについて採り上げます。『スーパー・アンカー和英辞典』(第2版,学習研究社)によると,game ending home run(サヨナラホームラン)とあります。また記事にはa walk-off victoryとあります。2つ目は「同点」についてですが,『スーパー・アンカー和英辞典』(同上)にはa game tieとありました。この表現が記事ではgametyingとして使われていますね。最後にbullpenです。bullpenという単語から,ふとbulldozerという単語を思い出しました。先にbulldozerの話をすると,これは田邉先生に教えていただいたことなのですが,土を耕す「ブルドーザー」が開発されたことで,「牛が暇になって居眠りしてしまう」ということからbulldozerと名付けられたそうです。そこできっとbullpenにも同じことが言えるのではと思い調べてみました。すると,bull(牛)+pen(家畜などを入れる小さなおり,囲い)が合わさった単語であることがわかりました。他にもplaypen(ベビーサークル)などが挙げられます『ジーニアス英和辞典』(同上)。知のネットワークがつながった瞬間でした。(ゼミ生 Lbow-Shoulder)