常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

dupe

大阪に住む60代の男性が宮城県女川町でのトラック運転手の求人に応募したところ,求人情報の内容とは異なり,福島第一原発に連れて行かれ,原子炉などを冷却するための給水車に水を移し変える作業に従事していたことを明かしました。この様子を伝えているThe Japan Times Online(2011/05/10付け)の見出しから気になった表現を取り上げます。

Osaka day labor duped into nuclear cleanup

今回取り上げる表現はdupeです。『ジーニアス英和辞典』(第3版,大修館書店)によると,名詞では「だまされやすい人,ぼんやり者,間抜け」とあり,動詞では「〈人〉をだます,〈人〉をかついで…させる」とありました。「だます」と聞くとcheatを真っ先に思い浮かべたのですが,LDOCEによるとcheatはto behave in a dishonest way in order to win a competition, game, or examinationとあり,dupeは名詞で見てみるとsomeone who is tricked, especially into becoming involved in something illegalとありました。嘘の求人広告で契約を結んだことで労働基準法職業安定法などに抵触する恐れがあるため今回はdupeが使われているのですね。

この男性は現地に着いた時に初めて仕事内容を聞いたそうです。放射線の情報や健康状態についての情報があまりなかったようなので,精神的なストレスは相当なものだったと思います。(ゼミ生yori-money)