常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

義理チョコ

今日は2月14日のバレンタインデー。なんと14日が平日にあたったのは3年ぶりのことだそうで,チョコレート商戦が熱気を帯びています。DY(02/13/11)にあった記事から基本単語について調べてみました。
Richer chocolate sales
Valentine's Day falls on weekday for 1st time in 3 years

Sales of so-called giri-choko, "obligatory" valentine chocolate usually given by women to their male coworkers, are expected to increase this year, as Valentine's Day falls on a weekday for the first time in three years.
Sales of "joshikai-choko" chocolates meant for women-only parties are also expected to increase this year.
今回採り上げるのは「義理チョコ」の説明で使われているobligatoryです。まず,ここで注目したいのが"obligatory"のように“”(double quotation)がついている点です。というのも,日本語の「義理」と英語のobligationには微妙な違いがあるからです。『スーパーアンカー和英辞典』(第2版,学研教育出版)には:
(1)日本語の「義理」は「人と付き合っていく際に守らなくてはならない世の中のルール」の意であり,広義には「付き合い,交際」の意でもあるが,これらの意を表す特定の語はない。英語のobligationは「契約・約束・道徳的責任などに縛られて果たさなければならない義務」,dutyは「良心・職責などから生じる義務(感)」の意で,いずれも日本語の「義務」にぴたりとは対応しない。
(2)したがって,日本語の「義理」にはgiri(obligation)かgiri(-type) obligationを用いるのがよい。
とありました。また,「義理チョコ」に関する例文としてOn St. Valentine’s Day I gave my male colleagues chocolate as a matter of obligation [just to be nice].(→後者は「単に親切心で」の意)が挙げられています。
以上から,今回のDYでは"obligatory" valentine chocolate usually given by women to their male coworkers と“”(double quotation)で表記されていたわけです。さらに,obligatoryを辞書で調べてみると「(…にとって)義務的な, 強制的な;必須の」という意味の他に「いつもの, お定まりの」という意味がありました(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。なるほど,確かに日本では2月14日に「義理チョコ」を挙げるのは慣習化していますし,その意味では「お決まりのチョコ」と解釈しても悪くはなさそうですね。(院生 小山本)