常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

神奈川県立国際言語文化アカデミア(persimmon柿生編)

本日(1/22/11),本郷台駅の近くにある国際言語文化アカデミアで行われた開所式にgacha君と一緒に参加してきました。
神奈川県立国際言語文化アカデミアとは,神奈川県が目指している県民の国際相互理解の促進を図り,多文化共生社会づくりに寄与するための施設として平成23年1月に開所された施設です。そこでは,言語及び文化に関する講座等を開設する予定となっております。
開所式は以下の流れで進められていきました。
1. 開会
2. 主催者挨拶
3. 来賓祝辞
4. 来賓紹介
5. 主催者挨拶
6. 基調講演
7. 閉会
今回は基調講演についての内容ならびに感想を書かせていただきます。講師は東京外国語大学北脇保之先生(多言語・多文化教育研究センター長)でした。テーマは「多文化共生社会の意義について」です。
北脇先生は多文化共生社会の定義と背景,歴史的経緯,そして政策的視点の点を大枠としてお話をしてくださいました。
多文化社会は日本で生まれた言葉だとされています。ここ20年間で日本は海外から多くの人が移り住むようになり,単一民族である私たちが,他民族の文化を受け入れる必要性が浮上してきたのがこの言葉の背景として考えられます。この多民族の大量移入は,日本の人口が減少していることと関係があります。人口が矮小化することにより,経済成長の抑制・財政年金制度の維持可能性の喪失・経済社会システムの脆弱化がしばしば指摘されるようになりました。そこでブラジル系や中国系,フィリピン系のニューカマーと呼ばれる人々が日本に移住し、職を持ち住めるようになってきたのです。日本はそこで,地域と国のそれぞれが独自に政策を考案し,多文化共生社会の実現を目指してきました。
しかし,地域と国が別々に動いても,あまり成果は上がりません。そこで北脇先生は,地域と国が一体となって社会統合政策を敷いていくのが重要であるとおっしゃっていました。
多文化共生社会では,積極的な外国人の受け入れ,多様性の受け入れを成長の機会とみなす心持ち,そして多文化共生社会で発生しうる人権擁護問題などの社会的活動の促進が大事になってきます。これらの事を行うことによって,日本全体が成長することが多文化共生社会の意義として挙げられていました。
私は以前国際研修館という,留学生と一緒に住む寮に住んでおり,そこで少なからず多文化共生社会というものを経験したつもりでした。しかし今日,県,国レベルの話になると色々な問題が絡んでいるという事を学んだのです。将来英語教師として教壇に立つ際に,今回学んだ多文化共生社会の知識は活きてくると思います。少しではありますが,このお話を聞いて自分の夢に近づくことができたかなと感じた基調講演でした。(ゼミ生 persimmon柿生)