常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

channel

今回は11/3/10付けのDYに載っていたEditorialから英語表現を採り上げます。
先日,ロシアのメドヴェージェフ大統領が北方領土択捉島を訪問し,波紋を呼びました。日本政府側は外交ルートを通じて大統領の北方領土訪問に強い懸念を表していましたが,ロシア側はこれを無視した結果となりました。以下はDYからの引用です。
Since Russian President expressed his intention in late September to visit the disputed northern territories off Hokkaido, Tokyo has expressed strong concern and asked Medvedev not to do so through diplomatic channels.
注目はchannelの使い方です。channelと言いますと「(テレビの)チャンネル」が思い浮かびますが,ここでは「(情報などの)伝達経路,ルート」などの意味で使われています(『オーレックス英和辞典』旺文社)。これは,中心義の「Aを通すもの(Aは「電波」「水」「精力」など様々)」から来ています。太文字箇所は,「外交ルート」と訳せるのでdiplomatic routeとも考えられます。しかし,routeを使うと大統領などの「ハイクラス」の方が関わっており,channelは「どのクラス」の人でも関わっているニュアンスが出て来ます。さらにcollocationの面でもchannelの方が良いでしょう(LDOCEにも載っていなかったので,アメリカ人の留学生に聞きました)。
一つの日本語を言うにも,英語には色々な表現方法があります。少しずつ,語彙を増やしていきたいです。(ゼミ生 persimmon柿生)