常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

アクション・リサーチ全国大会に参加して(小山本)

アクション・リサーチ全国大会に参加してきました。簡単に感想を書きたいと思います。
基調講演は佐野正之先生(横浜国立大学名誉教授)による「アクション・リサーチの過去・現在・未来」。これは,欧米に比べて日本ではまだ研究分野としてあまり一般的ではないアクション・リサーチ(以下AR)の起こりから現在までの流れを,ヨーロッパとりわけイギリスの流れを中心に簡単に解説してくださいました。Power Pointを駆使し,かつシンプルな説明であったために,ARに精通していない私にとっても非常にわかりやすいものでした。
その中で,佐野先生も言及されていましたが,ARでは日本では研究分野においてはまだメジャーとは言い難いところがあります。それには様々な要因が考えられると思いますが,講演後の研究発表を聞いていて,(あくまで個人的な視点からですが)その一端を垣間みることができたように思います。
その問題点の1つがデザインの甘さです。ARは通常1)問題発見,2)事前調査,3)Research Question,4)仮説,5)計画の実践,6)検証,7)成果,8)報告の流れで進められます(小泉玲子「アクション・リサーチの進め方:神奈川県の取り組みから」アクション・リサーチ全国大会発表資料10/03/10)。もちろんすばらしい研究報告もありましたが,中には3)〜6)までのプロセスが論理的ではない,やや緻密さに欠けるものもありました。
大学院で研究を進めていくにあたり,田邉先生に何度も指導していただいたことですが,デザインの緻密さは研究の命です。デザイン次第ではどんなに時間とエネルギーを費やした研究も台無しになりかねません。このデザイン方法が日本で今後ARが認知されていく鍵の1つとなるのではないでしょうか。
私は来年から高校の教育現場に立ちますが,大学院で学んだことや今日の学会での報告を参考に,教師として研究と実践の両面で研鑽を続けていきたいと思います。(院生 小山本)