常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

イチロー特集#2exacta

先ほどの記事のfollow-upをいたします。前の記事でマリナーズはあと16試合中9回負けたら100敗に達してしまうとお伝えしました。原文ではそのことを以下のように表現しています。
Alas, his and the Mariners' stars are aligned once again to produce the rare event. Eleven Ichiro hits and nine Mariners losses in the final 16 games will yield the exacta.
Originally published Thursday, September 16, 2010 at 10:01 PM
http://seattletimes.nwsource.com/html/mariners/2012919629_ichiro17.html
“stars are aligned”という表現はブログでもう以前取り上げられています(http://d.hatena.ne.jp/A30/20100502/1272757720)。
今回注目したい表現はその後の一文になります。(残り16試合と大詰めの状況で)イチローの11本ヒットとマリナーズの9敗はexactaをもたらすと記者は述べています。このexactaとは一体なんのことでしょうか。辞書を開いてみると「⦅米国用法⦆連勝単式:競馬ドッグレースなどで1・2着を順位通りに当てる賭(か)け.」と出ていました(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。またexactaの他にperfectaでも同様に「連勝単式」という意味があることがわかりました(『リーダース英和辞典』第2版,研究社)。またPersimmon柿生講座(懐かしい!)には「三連勝単式」はtrifectaであると以前紹介されていました(http://d.hatena.ne.jp/A30/20100621/1277089223)。
少し本筋から脱線してしまいましたが,記者はこのbittersweetの記録への挑戦を競馬の連勝単式と掛けていることがわかります。両方が順位通りにゴールすれば馬券が当たる,つまり2つの大記録が達成されることになります。初めの文の文頭にあるとても古風な“Alas”という言葉からも,この部分全体に皮肉が漂っていることがわかります。(ゼミ生 camel)