常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

fiddle while Rome burns

JT(09/11/10付け)の見出しから英語の落ち穂を拾います。記事は間近に迫った民主党代表選挙の話題です。
Kan, Ozawa draw flak for fiddling while Rome burns
今回取り扱う表現は“fiddle while Rome burns”です。なぜかというと,民主党代表選挙とローマの関連性があまりにも薄いので,何か故事か何かが隠されているのではないかと思ったからです。幸いにもこの予想は的中していました(だから今こうして書けているわけですが…)。辞書で意味を調べてみると「大事をよそにして安逸にふける《Neroの故事から》」と出ていました(『リーダース英和辞典』第2版,研究社)。
ネロ(Nero Claudius Caesar)という人物も一緒に調べてみました。『大辞泉』(小学館)によると「[37〜68]ローマ皇帝。在位54〜68。始め哲学者セネカらの補佐によって善政を行ったが,のちに残忍な性格をあらわし,義弟・母・皇后を次々に殺害。ローマ市大火の罪をキリスト教徒に負わせて大虐殺を行い,反乱を招いて自殺。暴君の典型とされる」とありました。ローマ市大火の罪をキリスト教徒になすり付けたことから生まれた表現であることがわかります。
話を戻しますと,ここでのネロは小沢氏と菅首相ローマ市民が我々日本国民となります。日本国民は円高やデフレによる経済や雇用情勢の悪化など喫緊の問題に直面しているにも関わらず,民主党はこの時期に及んで代表選挙をしています。しかもその代表選挙により党が分断してしまっては経済の再生はより難しくなるだろうと同紙は報じています。以上のことから,よそに回されている「大事」とはこの場合日本の「景気回復」,ネロがふけっている「安逸」というのが「党代表選挙」となります。今後の動向が気になりなる記事でした。(ゼミ生 camel)