常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Persimmon柿生講座#1「regift続編」

ご指名質問#36の答えに補足説明を付け加えておきます。

「使いまわす」をregiftで表現するとご紹介しましたが,この訳は100%日本語のニュアンスを含んでいるとは残念ながら言えません。なぜならば,日本と欧米(英語圏)とでは贈り物の習慣が大きく異なるからです。

まず欧米ですが,贈り物が一時期に集中することは基本的にはありません。強いて言えばクリスマスぐらいでしょうか。一方,日本はというとお盆・クリスマス・お正月・記念日など贈り物をするまたは頂く機会が多くあります。そして,もらった物をみんなに「おすそわけ」するという考えが根付いています。おそらくこれは,日本がかつてムラ社会であったという事実に関係があるのではないかと考えられます。さらに,昔は生ものを贈り物にしていたのですぐ腐ってしまうところから,「もったいない」精神が培われました。

以上の要素を念頭に入れると,日本の「使いまわし」をregiftとそのまま訳す時は気をつけなければなりません。説明的になってしまいますが,regiftを使った後に文化的な情報をつけ加えるのが無難かと思われます。

ちなみにメキシコでは,自分の物をほめられたらそれを差し上げなければならない文化があるそうで…。さらに贈り物をする際は,自分が相手から以前頂いた物と同じくらい高価な物でなければならないそうです。物々交換にも国によっていろいろなので,気をつけばければいけませんね。(ゼミ生persimmon柿生)