常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

price

いよいよ高速道路無料化の試験プログラム(pilot program)が始まりました。これにより全国にある高速道路の約20パーセントが無料になります。THE DAILY YOMIURI(06/29/10付け)は見出しでそれを以下のように伝えています。
Toll-free expressways, but at what price?
tollは「(道路・橋などの)交通量,(港湾などの)使用料」と出ています(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。freeをハイフンで前にあるtollに繋げる事によって「交通料のかからない,無料の」という意味になります。ここまでは難なく処理できましたが,問題の箇所はbut以降です。高速道路が無料化したにも関わらず,なぜat what price?という風にして高速料金をたずねているのでしょうか。
少しの間考えましたが,なかなか糸口が見つかりません。すると,このprice は通常使われる「(物品の)価格,値段;相場,市価」といった意味ではなくて,「《正式》代償,代価(cost);犠牲」と訳すとうまく処理できると田邉先生に教えていただきました(『ジーニアス英和辞典』同上)。確かに「高速道路は無料になったが,その無料化に払われる犠牲(price)は何なのか」とするとうまく意味が通ります。無料化は一部のドライバーから歓迎されていますが,フェリーやバスといった他の交通手段の収益減少など,負の側面もあるようです。民主党マニフェストは実現されるのでしょうか。今後の動向が気になる記事でした。(ゼミ生 camel)