常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

a bipolar bear

THE DAILY YOMIURI(06/27/10付け)の中にあるTHE TIMESの記事の中に面白い見出しがありました。記事の内容はベルリン動物園にいる有名な北極グマのKnutが最近不可解な行動をとっていると伝えたものです。以下に見出しとそのリード文を載せます。
Is it just boredom- or has Knut become a bipolar bear?
Is Knut nuts? Animal rights activists in Germany are claiming that the celebrity polar bear - famous for being famous - has become deeply disturbed after three years of confinement in Berlin Zoo.
ポイントはリード文にあるように北極グマはa polar bearであるはずなのに,見出しではa bipolar bearになっている点です。bipolarを辞書で調べてみますと,「《電気》2極[両極]指揮の;(南北)両極の」という意味と「《精神医》躁うつ性の,双極性の」という意味があることがわかりました(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。
以上の事から,見出しのbipolar bearは2つの意味が取れることがわかります。一つ目が「(南北)両極性クマ」。二つ目が「躁うつ病クマ」です。
リード文に目をやると“Is Knut nuts?”(Knutはイカれているのか?)という衝撃的な始まり方をしています。そして,“the celebrity polar bear… has become deeply disturbed after three years of confinement in Berlin Zoo”と続きます。ここから推測できることは,北極グマ(polar bear)であるKnutが,3年間ベルリン動物園に収容されていたために躁うつ病のクマ(bipolar bear)になってしまったのではないかということです。「(南北)両極性クマ」がいるかどうかも定かではないので,やはりここでは後者の「躁うつ病クマ」とするのが妥当だと言えます。polarとbipolarという音韻が似ていることを活かした遊び心溢れた見出しであることが伺えます。(ゼミ生 camel)