常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問#31に挑戦!

質問#31にお答えしたいと思います。なろはすです。
あまり広く知られていないかもしれませんが,カナダもアメリカ同様多文化の国家です。民族構成が多様で,イギリス系を筆頭にフランス系,アジア各国といった外国からの移民が目立ちます。使用されている公用語も英語とフランス語の2種類あります。カナダでImmersion Programが盛んなのはこのためです。逆に地域によっては,このような教育システムがないと生活に支障をきたしてしまう可能性があるのです。国の中で文化的な背景や言語が違うため,カナダには独自の文化的特徴がないと言われてきました。そこで,多文化こそがカナダの文化的特徴であるという考えが生まれました。モザイク模様は一つ一つの色彩が全体を美しく見せます。モザイク画の個々の色彩をカナダにいる個々の民族になぞらえ,民族の大小などは問わずに擁護していこうという動きが盛んになりました。これが,カナダが「モザイクの国」と呼ばれる由縁です。

また質問にもありましたが,モザイク(mosaic)の語源を辞書で調べてみると[中ラテン語mosaicum(ギリシャ語mousa沈思+-IC=芸術的な). △MUSE, MUSIC]とでていました(『プログレッシブ英和辞典』小学館)。Museは名詞で「《ギリシア神話》ミューズ, ムーサ:Zeusの娘で学問芸術をつかさどる9人の女神のそれぞれ」という意味があります(『プログレッシブ英和辞典』同上)。9人の女神もモザイク画のように美しかったのだろうと思います。モザイクというとテレビ画面の不適切な映像をぼやかすものと思っていましたが,こんなにも奥が広いとは恥ずかしながら知りませんでした。質問ありがとうございます。(ゼミ生 なろはす)
【参考文献】
伊村元道,斎藤 武生,速川 和男(編)(1995)『英語なんでも情報事典』研究社.