常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

「真実」と「嘘」

田邉先生(http://d.hatena.ne.jp/A30/20100624/1277382512)に続いて,同い年の同級生として小山本も本日の小俣さんの講演について感想を書かせていただきます。
田邉先生の感想の中に「女性車掌として充実した毎日を送っている彼女の語りは朴訥ではあったものの,大好きなことを追い求める力の大切さを私達に伝えてくれました」とありましたが,確かに学部生時代から小俣さんは何でも器用にこなすタイプではありませんでした(決して批判ではありません,友人として大目に見てください)。
それでも彼女の思いは言葉に乗って相手の心へと届きます。鉄道会社に内定が決まったのも,(彼女自身の努力は言うまでもありませんが)そういう思いが面接官あるいは人事の人に伝わったからだと思います。
でも,なぜ伝わるのでしょうか。あくまで私の考えですが,それは彼女の「好き」という思いが「真実」だからではないでしょうか。小俣さんは鉄道以外にも,英語そしてジャイアンツをこよなく愛しています。小俣さんとこういった話題で話したことのある人なら,彼女が心から「好き」だということがわかると思います。その嘘偽りのない思いが,人に伝わり,ときには今回の講演のように感動を与えてくれるのかもしれません。それがいわゆる「人間力」であり,以前採り上げた「所与性の認識」です。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20100504/1272956463
そして裏を返せば,どんなにきれいな言葉あるいはお化粧で飾って自分をよく見せようとも,そこに「真実」がなければ,結局肝心なことは何も伝えることはできないのではないでしょうか。仮に伝わるとしたら,おそらくはそこにある嘘偽りだけでしょう。
なぜ英文科に入ったのか?なぜ田邉ゼミに入ったのか?なぜ大学院に入ったのか?今一度自身に問い直し,再び歩み始めるいい機会ではないでしょうか。このような自己を見つめ直す機会を与えてくれた小俣さん,ありがとう!(院生 小山本)