常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

inter-war

今日(6/21)の大学院の授業でテキストの中に,文化を反映する興味深い単語が出てきました。まずはその単語が含まれた英文を引用します。A. P. R. Howatt. (2004). A History of English Teaching, Oxford University Press.からです。
In 1934 this key inter-war research topic brought West and Palmer together with Lawrence Faucett (see below) on a project funded by the Carnegie Corporation, the first stage of which ended with a draft list of around 2000 ‘general service’ words which was published as the Interim Report on Vocabulary Selection in 1936, but it did not appear in its final form until 1953.(p.236)
この英文を読むには専門知識や不脈が必要になりますが,ここではその説明は省略します。問題の単語は太字のinter-warです。辞書にはinterwarで「両大戦間の」とありました(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)。ここでいう「両大戦」とは第一次世界大戦第二次世界大戦のことで,1919〜1939年を指し,そのためこの単語が使われるときは定冠詞,あるいは指示詞などの限定詞を伴うのが普通です。そしてこの単語が興味深いのは,あくまで欧米からの視点での「戦争間」ということです。
たとえば,日本は1919〜1939年の間にも日中戦争(1937〜)をしています。つまり日本や中国からしてみればこのinter(-)warという単語は「戦争間」にはならないのです。この他にもコトバで世界の切り取り方が異なる例は数多くあります。みなさんも何か見つけましたら是非記事を書いてみてください。(院生 小山本)