常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

P柿生くんへ #2に答えて

大変,遅れて先生からお目玉をもらいましたが,オランダ戦の記事第2弾です。太字について解説していきます。先生によるとこの一連のサッカー記事の中から「必ず出す」とのことです。(P柿生)
Japan defended valiantly for long stretches at Durban…
「日本はオランダの猛攻を必死に耐えしのんでいましたが…」
Valiantlyは「勇敢に,雄雄しく,英雄的に」という意味《しばしば不成功に終わる場合に用いる》です(『ジーニアス英和辞典』第4版,大修館書店)。勇敢に守備することを「耐えしのぶ」とよく言います。

when Inter Milan star Sneijder struck on 53 minutes to make it two wins out of two and put Bert van Marwijk’s men on the brink of the place in the last 16.
スナイデルは53分に試合を決定づけ,オレンジ軍団をベスト16に押し上げた。」
Make it two wins out of twoは2戦2勝するという意味。これは,ほぼ同時に決勝トーナメント進出をも意味します。Bert van Marwijk’s menは,英語のall King’s men(部下)というフレーズから(cf. Humpty Dumpty)。オランダ代表イレブンのことを指しています。

Japan’s first defeat leaves it on three points, with Denmark set to meet…
「今回のW杯での日本代表の負けにより勝ち点は3のままで推移し…」
Three pointsはサッカー界では,グループリーグで勝利すると獲得できる勝ち点3を
表します。

Japan came into the match looking to build on a dream start after Monday’s…
「日本は〜の後,良いイメージを持ちオランダ戦に臨みましたが,…」
A dream startはカメルーン戦勝利というdreamから来るものなので,勝利後の「良いイメージ」と試(私)訳しました。ちなみに,サッカーでは試合前のイメージトレーニングでよく「良いイメージを持つ」ことが大事とされています。

also seeking to avenge…
「雪辱を晴らす」
この表現に関してはサッカー関連のものはありませんが,リベンジは英語ではrevengeではなく,avengeということを押さえてください。

Japan was on the back foot in the early stages,
「日本は立ち上がりから,引いてゴール前を固めた。」
試合開始当初は立ち上がりといい,立ち上がり5分は点が入れられやすい「魔の時間帯」と言われています。

Sneijder’s ninth-minute effort sailed harmlessly over the bar.
スナイデルの個人技からチャンスを作りましたが,シュートは無情にもバーを越えていきました。」
ここでのeffortは、自らチャンスを作ったということなので個人技という言葉を入れました。Harmlesslyは,この文脈では「無情にも」がしっくりきます。よく「ウイニングイレブン」の実況でジョン・カビラが使っていますね。

Marcus Tulio Tanaka went closest to breaking the deadlock for the Japanese, …
「あと少しのところで均衡をこじ開ける」
Be closestは前回も取り上げたa hair ofと似ている表現で,deadlock(均衡)はしばしば「こじ開ける」または「破る」という動詞と共起します。

The Dutch came out with renewed purpose after the break and…
「ハーフタイム後,気持ちを切り替えて後半に入り…」
Breakは前半と後半の間の休みの時間で,ハーフタイムと言います。その時に,作戦を立て直し後半に新たな気持ちで入って行くのですが,よく「気持ちを切り替える」のように表現します。

Tulin’s attempted headed clearance fell to Robin van Persie and the Arsenal star laid the ball back for Sneijder to score with a shot that was too hot for Eiji Kawashima to handle.
スナイデルのシュートが火を噴き,川島の手を弾き飛ばした」
スナイデルのシュートは弾丸ライナーだったのですが,このようなシュートはよく「火を噴くシュート」のように使われます。その証拠に英文はhotが使われています。too~to handleはキャッチ出来ないという意味と捉えられるので,「弾き飛ばす」と訳してみました。漫画の『キャプテン翼』にはこのようなシーンがあるような…。

Okada threw on Shunsuke Nakamura for Matsui Daisuke midway to through the second half in an attempt to give Japan some creative spark and also…
「流れを変える創造的なプレーを期待して」
選手交代は基本的に試合の「流れ」を一瞬のひらめき(creative spark)で,自分たちの方向に変えるために,後半,ファンタジスタと言われている中村俊輔の投入がこう表現されています。

…as the game tiptoed into added time.
「ロスタイムが(忍び足で→)刻々と迫る」
英文では試合がadded time(ロスタイム)に近づいていますが,サッカーではよく「ロスタイムが迫ってくる」のように言われます。(ゼミ生persimmon柿生)