常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Persimmon講座#4「spark plug」

ここのところ,新聞の紙面に必ずと言っていいほど載っているのが菅首相。今回は,(少し古いのですが)鳩山前首相について書かれたTIME(6/14付)からの表現を紹介します。
同誌は鳩山前首相の辞任を次のように表していました。
YUKIO HATOYAMA WAS NO SPARK PLUG AS JAPAN’S PRIME MINISTER.
ここでおやっと思ったのがspark plugという表現。この文脈だと人を表す意味だと察しはつくのですが,正確な意味がわかりません。そこで(引きすぎて)もうボロボロになっている『ジーニアス英和辞典』(第4版,大修館書店)を引いてみると,spark plugで「中心人物,指導者」とありました。
では,ここであえてこの表現を使っているのはなぜでしょうか。あくまで私の推測ですが,spark plugには,点火という意味もあります(『ジーニアス英和辞典』同上)。そしてみなさんもご存じのようにsparkの原義は「火花」です。ここから,spark plugには自民党政権時代からの古い体制を一新し,政界に新しい風を吹き込む「起爆剤」としての期待が込められていたのです。さらに,no~という強い否定を表す構文の中でこれを使い,「期待はずれ」の意味を込めていることがわかります。
さて,菅首相は線香花火(sparkler)のようにまた早期退陣してしまうのでしょうか。はたまた日本を変えてくれるspark plugになるのか。注目です。(persimmon柿生)