常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

ご指名質問#4 landに挑戦

pearです。指名質問#4に挑戦したいと思います。質問内容は
The result makes Nadal just the second man in history (behind Bjorn Borg) to win five or more French Open titles (Borg won six) and lands him the unique ‘Red Slam’ – the trio of ATP Masters 1000 clay court titles at Monte Carlo, Rome and Madrid, topped off by victory at Roland Garros.
上記の文中でのlandsはどういう意味なのかということです。
まず自分で文脈から判断してみます。ラファエル・ナダル選手(スペイン)がテニスの4大大会のひとつ,全仏オープンで2年ぶり5度目の優勝を飾ったことを伝える記事であることをふまえますと,ここでのlandは「(ナダル選手が‘Red Slam’という称号を)勝ち得た」といったところでしょうか。
次に確認のためにlandを辞書で調べてみると,『ウィズダム英和辞典』(第2版,三省堂)には「〈仕事・入手困難な物〉を(うまく)手に入れる」という解説がありました(例 land an account 顧客をとる,取引をとりつける)。「手に入れる」というとgetという単語を真っ先に考えてしまいがちですが,この文ではlandが優勝までの険しい道のりを非常に上手く表していますね。
さらに,実はこのlandには言葉遊びが隠れています。ナダル選手はクレーコートでの試合で数多くの勝利をあげており,‘Red slam’という異名を持っています(redはクレーコートを象徴する色)。landは「土地,地面」という意味でもあり,そこから土,つまりクレーコートをイメージさせます。ここにこの記事でのlandの面白さが見られるのです。
筆者の伝えようとしていることを深くまで読み取れるとおもしろいですね。これからも英語学習に励み,こういった言葉の面白みを味わいたいと感じました。(ゼミ生 pear