常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

toll

またまた,本日のTHE DAILY YOMIURI(2010年6月1日付け)の1面から。熱帯暴風雨アガサ(Agatha)がグアテマラを直撃し,豪雨による土砂崩れと洪水で,これまでに99人の死亡が確認されています。そのリード記事に以下のような英文がありました。
Storm death toll hits 99
今回はtollを採り上げます。まず,ここでのtollは「⦅ふつう単数形⦆犠牲, 代償;損失, 損害, 被害;死傷者数」(『プログレッシブ英和中辞典』小学館)という意味で,deathを省略してtollだけで使われることもあります。さらに,tollで私たちに馴染みがあるのはETC(Electronic Toll Collection System)のtollです(まさに「金トル」です)。この場合は「使用料[税](道路通行料渡橋料など);運賃;サービス料[税];⦅米国用法⦆長距離電話料」(『プログレッシブ英和中辞典』同上)と意味になります。
さらに,田邉先生に教えていただいたのがErnest Hemingway(1899-1961)のFor Whom the Bell Tolls(タイトルの由来はJohn DonneのDevotions upon Emergent Occasions(1624)。邦題は『誰がために鐘は鳴る』)でも用いられている動詞としてtoll。辞書には「〈晩鐘弔鐘などを〉(長い間(ま)をおいて)鳴らす, つく, 〈鐘時計が〉〈時刻を〉打つ, 報じる⦅out⦆;〈会合の始まり人の死災害などを〉鐘を鳴らして知らせる;〈人を〉鐘を鳴らして呼び集める[散会させる]⦅in, out⦆」とあり,このことからなぜtollが「死」と関係しているのかが理解できます。
(ゼミ生 浅見みなみ)