常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

種苗 植え付け開始!萌〜っ!

ゼミもはじまりました!写真は自己紹介のときのもの(決して叱られている場面ではありません)。みんなの前に立ち,30秒〜1分で英語によるスピーチをします。内容は出身地や趣味から卒業後の計画まで人それぞれです。

ゼミにちなんで,以前,田邉祐司先生に教えていただいた「ゼミ」のお話。

まず,英語では/sémənὰːr/なのに大学で「ゼミナール」というのはなぜでしょう?

もともとseminarはラテン語で「苗床」という意味のseminariumが語源です。それがドイツ語のseminarになり,英語にも入ってきました。seminarをドイツ語読みすると/zeminar/になるので,大学の「ゼミナール」はそこから来ているわけです。

また,その語源からseminarには「種床」「苗床」という意味が含まれます。確かに『リーダーズ英和辞典』(研究社 第2版)を見ても,seminal「種子の,発生の,生殖の,種子のような,発達の可能性がある」,seminary「《犯罪などの》温床」,inseminate「種をまく」など,seminarに関係した単語には「種苗」の意味を含むものが多いことに気がつきます。

さらに「苗床」を『大辞泉』(小学館)で調べると「土をよく耕し、種子が発芽しやすい条件を整えた所」とありました。つまり,seminarでできるのはあくまで「条件を整える」までであって,その後は芽が出るの待つほかありません。裏を返せば,どんなに環境を整えても「種」自身の生命力・エネルギーなしに発芽は起こりえないとうことです。「最後は本人の気持ち次第」。これはゼミに限らず田邉祐司先生の授業に一貫して流れる哲学です。プロフィールに「芽」の写真を採用したのもこのため。

人によって成長の時期や速度が異なるのは言うまでもありません。そういえば,研究室前の銀杏の木も芽吹いたものとそうでないものがありました。ゼミ生の中にはまだ太陽の方向が見えず悩んでいる学生もいれば,なかなか外皮を破れない学生もいます。それでも確実に「種苗」は植え付けられていく(あるいは植え付けられている)はずです。そんな「種苗」は近い将来いったいどんな花を咲かせるのでしょうか。(院生 小山本)