常時英心:言葉の森から 1.0

約10年間,はてなダイアリーで英語表現の落穂拾いを行ってきました。現在はAmeba Blogに2.0を開設し,継続中です。こちらはしばらくアーカイブとして維持します。

Ride’em, cowboy

Apr 11th, 2010

4月11日付けのTHE DAILY YOMIURI 2ページ目に面白い写真とcaptionがありました。6年に1度,長野県の諏訪大社で行われる御柱(おんばしら)祭の一場面をカメラで切り取ったものです。写真にそえられた一言が;

Ride’em, cowboy

でした。これを見た瞬間,「カウボーイはどこ?」なんだと思ってしまいました。写っているのは巨大な丸太を跨いで,斜面を下っている勇ましい男達だけなのですから。

早速,調べてみました。この表現は,戦前に米国で作られた“Ride’em, cowboy”(1942)という西部劇(Spaghetti Western)の題名を下敷きにしたものだったのです(記者は何歳??)。

ついでに「木落し」(log sliding)もチェックしてみました。木落しというのは平安時代以前から続けられている御柱祭の中の行事です。男達は,傾斜度30度ほどの勾配な坂を,丸太に乗って下るのです。この行事はとても危険が伴い,過去に何人もの死者を出して(claim)きたそうです。

カウボーイと木落しの男達。前者は暴れ牛から、後者は大木から,どちらも生死をかけてバランスをとりながら,しがみつくのです。日米の文化は違えども、どこかで似通った考え方もあることに気づかされました。

このcaptionを一瞬で理解するにはどれだけの日米の文化的知識がないといけないのだろうと考えただけで気が遠くなりますが、僕も英語から振り払われないよう、必死にしがみついていきたいと思います。(by camel)